ファイナンシャルプランナーの工藤と申します。2015年から「執筆FP」として活動を開始し、これまで記名記事で600-700以上の実績があります。FPは「個人相談・セミナー講師・執筆」が3大業務といわれますが、私は幸せなことに執筆を中心に稼働した11年において、多くの記事執筆機会に恵まれてきました。
2026年、こちら「みんなの仕事支援サロン」にて、ライティングスクールの講師を務めています。ライティングスクールとしても高い場所から「WEBライティングとはこうだ」と高説を唱えるだけでなく、実際に生徒の皆様と案件をこなしていく実践性の高い学校です。記事執筆時(2026年4月末時点)に上梓しましたが、45本の記事を生徒のみなさまと作り上げ、クライアントに提出したところでした。
それでも日々不安はなくなりません。「AI」があるためです。
AIの登場で仕事のなくなったライターの事例
AIの登場で仕事のなくなったライターの共通点は、「AIが代替できるライターだった」という点です。具体的な事例をもとに、考察していきましょう。
とても万能感のあるAIですが、当然ながら苦手なこともあります。クライアントがライターに求めていることで、AIが苦手ならば、それをできるライターは重宝されることは当然です。掘り下げて考えていきましょう。
ここに3人の事例があります。まず1人目はAさん。インターネットの情報を検索して、どのようなテーマでも幅広く書くことを得意としていました。専門家としての深い知識には及ばないものの、「広く浅く」書くことのできる能力は、クライアントに重宝されていました。ただ、もうお分かりですね、これはAIの最も得意とする能力です。Aさんがどれだけハイペースで納品しようと敵いません。執筆だけではなく校正もプロット作成も得意とするAIは、ものの数分で納品物を仕上げてしまいます。
次にBさん。Bさんは2010年代から大流行した「SEOライター」です。2010年後半から市民権を得た「SEOの専門家」となった人も多く、一時はWEBライター=SEOライターと称されたくらいです。SEOはGoogleが「YMYL」など漫然とした上位記事の基準を示しており、定期的にその基準を変更してきました。SEOをビジネスとする各社はその基準を推測し、自分たちに依頼すればSEO上位記事を提供しますという発信をしてきました。Bさんのように「SEO向けでライティングをしてきた人」も現在苦境に立たされています。ここは後ほど詳報します。
最後にCさん。CさんはAさんと違い「深い専門家記事」を書くことができ、実績も十分でした。ただ、Cさんの得意分野は自分の経験から「育児」というテーマに特化していました。ライティングの世界における育児のニーズはとても高いものですが、何せプレイヤーが多く、また多くの人が自分の体験談をベースとしているために記事群のなかで埋没してしまいます。Cさんにしか書けない、「悩んでいるママたちに教えてきた」などの差別化が不可欠です。ここはAIの影響というよりも、AIの発展で依頼されるライティング本数自体が減り、パイを取り合うことによる影響といえるでしょう。
3人の特徴を記載しましたが、これらを一歩異なる視点から見ると、「AIに取られないままこれからも継続的に仕事ができる打開策」が隠れているといえます。打開策とはつまり、AIを味方にすることです。その3つの方法を見ていきましょう。
AIを味方にする「3つの方法」
ライターがAIを味方にする3つの方法です。AIに期待できるのはプロット・要約・校正の3分野です。それぞれ活用するコツがあります。
AIによる迅速な作業で速度3倍にする
筆者の体験ベースですが、AIを使うと執筆速度は「約3倍」になります。詳しく見ていきましょう。
(1)プロットづくり
まずはテーマを決めます。「AIライティングの記事を書きたい」と生成AIに入力すると、100文字前後のプロットが5秒前後で出てきます。これを元にそのまま記事を書くのも1つの方法ですし、自分の希望しているプロットと違えば「プロットつくって」と追加指示を出します。また、もうちょっとわかりやすく(難解に)、専門家向けにといった抽象的な指示にも対応できます。
ここで注意したいのは、AIにプロット作成を依頼してから追記するか、それとも自分で先に作ってから、AIに補完的役割を期待するかです。人によって回答は分かれると思いますが、筆者は後者を推奨しています。その背景にあるのはSEOです。
SEOでは、「上位記事を参照しつつ、オリジナリティを出す」ことを求めています。この上位記事を参照の部分が自分で検索していたのならコピーとはならないのですが、AIで参照する以上、似たり寄ったりになるリスクがとても高いです。ならば自分で先に作ることでオリジナリティを担保しつつ、AIによるプロットづくりで上位記事の要素も逃さず含めるという順序がより適切といえるでしょう。
(2)要約
完成した文章を要約してもらいます。原稿をそのままAIのフォームにコピー&ペーストをすると、文章の体裁を崩さないまま文字数を調整できます。指示の際は「〇〇文字くらい」と、文字数を指定することもできます。
(3)校正
正しい日本語を使えているか、常用漢字以外を使用していないかといった「校正」もAIの得意領域です。誤字脱字はもちろん、とても高いレベルで校正をしてくれるサービスもあります。先般大規模にAI校正ツールを使いましたが、サービスによってレベルの差がある印象です。「てにをは」だけを修正するサービスもあれば、何度読んでも気がつかない点を瞬時に見つけるものもあります。一概に「AIによる校正」だけではなく、そのサービスがどこまで対応可能なのか確認しましょう。「AIによる校正を終了した」と先方に出したけれど、実は「てにをは」のチェックをしただけとなると、先方からの信頼感にも関わってしまいます。校正AIでは、ペルソナの修正をすることも可能です。タイトルや見出しで設定したペルソナにもとづいて文章が展開されているかを判断します。
日を改めると再び使用できる校正AIサービスも多いですが、短い納期で校正を入れる場合は無料に固執せず、有料版を購入するようにしましょう。「校正が有料となってしまったのでここまでしかチェックしていません」という納品物を出されると、クライアントとしてもいい気はしません。
AIを部下として使いこなす
いわば会社において、自分自身が稼働する前に事前作業をしてくれる「部下」をAIに委ねるというものです。この部下は高品質で仕事をすることはもちろん、長時間稼働していてもパフォーマンスが落ちることはありません。可能な限りをAIに任せ、自分は量ではなく質で差別化を目指す。これがもっとも効果的なAIの活用方法といえるでしょう。
このように、AIを敵ではなく味方と認識することで、これからの道は大きく開けます。先ほどのABCさんのように、AIが自分たちの仕事を奪うならば、「逆にAIに上乗りをして、自分の得意な分野を存分にアピールしよう。一方で物理的に時間を必要とするものはAIを利用して圧縮しよう」という方法が成立します。このスタンスをさらに紐解いていきましょう。
AIと一次情報を掛け合わせる
AIを使えば誰でも到達できるハードルがすぐ近くにあります。そして、その時点から差別化することは、とても難しいものです。
AIの各種サービスの特徴は、誰でも簡単に使えるようにできることです。高度なWEB言語を習得しないと使えないものや、高い利用料を支払ってはじめてログインできるようなものではありません。
(1)AIの弱点であるブランディング
AIは誰が触っても同じく、高品質な回答をするため、「誰がそのAIを使ってライティングをしたか」という点で差別化ができます。AI登場前に構築していたライター(もしくは監修者・専門家など)のブランディングを存分に活用して、「あのプロフェッショナルがAIを使ってプラスアルファの納品物を提供している」とできたら大きな差別化になります。AIを使って新人ライターが書いた記事と、その道で300本の記名記事の実績があるプロライターが書いた記事は別評価を受けるということです(同じ納品物が別評価を受ける是非については考えないこととしましょう)。
(2)一次情報(体験談)を掛け合わせる
実績がある場合は理解しやすいでしょう。ただ既に実績があればいいけれど、ライターとしての実務経験が少ない自分はどうすればいいのか。その場合の鍵となるのが「一次情報」です。自分はこのようなキャリアがあり、このような経験をしたという情報を執筆することによって、差別化になります。私の生徒さんにも、「〇〇なので教育関連の執筆では幅広く対応可能」とプロフィールを更新したことによって、多くの案件を獲得できるようになった方がいます。これを対AI活用において応用するという考え方です。
SEOとAI Overview
ここから「AIO」という言葉について考えていきましょう。特にライティングの世界において2010年代後半から、いわゆるSEOコンテンツ、というものが生まれて「SEOの条件を満たした記事」を追い、そうしてできたコンテンツをGoogleなどの検索エンジンが拾って上位掲載をするというのが、SEOの基本的な形です。
まず検索する人が入力した単語である「KW(キーワード)」があります。そのKWを入力すると上位に出てくる記事が、SEOとして優れた記事というわけです。そこの上位記事をどうやって実現するかというのが、SEOコンテンツを作るうえでの最大優先事項です。
ただ大切なのが、これはGoogleから発表はされていません。そこでSEO領域ではいわゆるこうじゃないかという仮説を立てています。分量とか書き方とか引用など細かいルールを達成すると上位掲載ができる、なのでそれができるSEOライターが優れているという構図です。
2020年代前半まで、数多くの「SEO対策は自社に依頼を」と標榜する会社がありました。わたしたちライターも、このSEO会社から依頼をいただくことも多かったものです。ただ落ち着いて考えると、それらの会社がGoogleからSEOの検索方法を流してもらっていた可能性はありません。自分たちで「こうではないか」という仮説を立て、それをセールス展開していたに過ぎません。このあたりがAIの登場によってどう変わっていったのかという点に移行します。
AIOの定義
ここ数年SEOに代わり、AIOという概念が登場してきました。AIOとはなんでしょうか。なんとなく言葉のリズム的にSEOと似ていますが、まずAIOの競技は生成AIが色々生まれている中で、自分たちが作っている自社コンテンツ「いかに生成AIに拾ってもらえるようなものか」を競います。これが狭義の定義です。
このなかに「AI Overview」があります。SEOで最上位記事のあったその先に、Googleが作成する要約のようなものです。自分たちの作成したコンテンツをこのOverviewに拾ってもらうにはどうするかというのが狭義です。AIOの広義はさらに、Overview以外の生成AIに拾ってもらう可能性を追求する流れです。ただ、ただこの生成AIは10種類もありません。

AI Overviewの一例(「ふるさと納税」で検索)
そこでAIOの広義の意味は、生成AIが浸透する世界の中でライターが生きていく方法論のようなものがAIOだと考えています。これはまだ人によって見解の異なるものでもあります。狭義で考えると「Googleが非公開のなかでみんなで予測するもの」という、何となく否定的な意味合いになりますが、ライターが今後生きていく方法論と考えると、とても可能性に満ちた領域という印象になりますね。では逆に、AIOにネガティブな要素はないのでしょうか。
AIO最大の弱点である著作権問題
それは著作権です。当然ながらAIOは著作権にも対応しています。たとえばOverviewを利用してみると、文章の末尾に鍵マークが記載されていることがわかります。これが引用です(上記画像を参照)。ここの表記は、この出典から著作権を確認していることを示すものです。
ただ正直なところ、生成AIはあのスピードでものすごい答えが断定口調で出てきます。実際に生成AIによっては著作権軽視で裁判となっているケースもあり、日本でも色々な指摘がされてきています。そもそも著作権は引用を開示すればいいというものではありません。著作権の観点からAIによる引用を拒んだ出典元をAIは除外しているというのが一般論ですが、それが汎用AIだけなのか。汎用AIとすればどのような仕組みで除外しているのかは定かではありません。汎用AIではなく各社が提供しているAIが、どのようなところから自社サービスのバックデータを引用しているのかはきわめて不透明です。
確かに著作権を無視していても汎用AI、生成AIやAIOというのは素晴らしい技術だと思います。素晴らしい時代変化や技術変化だと思いますが、著作権を無視してもいいというのはまた別問題です。
この問題に対して、Googleなど検索エンジン各社の姿勢は必ずしもポジティブとはいえないものです。言葉を選ばずにいうと、著作権というネガティブな要素があっても、その何百倍のスピードでAIが進化していくから大丈夫!という温度感でしょうか。
そのため、今までライターの世界で指摘をしてきたAIの世界で著作権が侵害されるんじゃないかという点は、どちらかというと問題視されていません。AIを使わなければ著作権が問題にはならないのでは?といった姿勢も感じます。
これから著作権が重視されることで「AIが展開しないという可能性」は、ほぼ皆無に等しいでしょう。もっともっととんでもないスピードでコンピューターがアップデートされて、著作権の問題なんかで騒いでいると、前進する世界から一歩引くことになりますよ?というのが基本線だと思います。誤解を恐れずに踏み込むと「著作権を気にしているなら別に生成AIを利用しなくてもいいのではないですか?」という高飛車な姿勢です。
一方で先日、生成AIによる著作権侵害に対して、法務省が法的整理に入ったという報道がありました。今後有識者の検討会を設置して、生成AIまわりの著作権侵害について議論するというものです。
今後の流れによっては、「AIの進行は凄いから著作権は二の次でいいよね」といった温度感から一気に流れが変わる可能性もあるということです。そうすれば、AIを活用する我々の姿勢にも大きな影響があります。
AIOにおけるハルシネーションとは
著作権まわりよりも大きなAIOの弱点が「ハルシネーション」です。ハルシネーションというのは、AIの持っている情報量の上限です。
世界の災害の情報量を100としたときに、今自分が使っている生成AIと、それにプラスして頭の中にある知識量とか、情報のアップデートを合わせて80にしかなければ不十分です。結局AIを作ったと言っても80の同品物しか出せないという結論になります。
一例を出します。2026年現在、例えば「2050年に世の中はどうなっているのか」とAIに質問したとしても、不確定な部分が多すぎます。気温の予測や人口動態など、2026年時点で予測できることはありますが、当然すべてではありません。
ところがAIは断定口調です。「わかりません」とはいえません。そのうえでAIを使ったけれども情報量に限界があるというのは、これから仕事をするうえで意識をしていきたい点大事な点です。AIを使ったから完璧なんだとか、AIを使ったから問題ないのかではなく、「あれ、AIもこれわかんないんだな」という視点を必ず持っておくのが、ハルシネーションとの上手な使い方だと考えています。
「ハルシネーション」は死語になるか
ただ、この認識が急激に古くなるのもAIの凄いところです。ハルシネーションという言葉も、もしかしたら2027年には「死語」になっているかもしれません。それもまた1つ社会の変革という意味合いがあるでしょう。
現状は、ハルシネーションと上手く付き合って行くというのが最適解です。80点だからといってAIの未熟さを糾弾するのでは、時代変革はできません。80点を出せるものがない以上は、ハルシネーションと専門家の立ち位置を築くことです。そしてAI+専門家、AI+プロライターというプラスアルファを工夫して、その80点を武器にしてお金に変えていくのが必要な考え方だと思います。
これはSEOに似た考え方です。このSEOをハルシネーションプラス専門家AIとすることによって、周りと差別化をしていきましょうという話です。もう1つは私の昨年の実績にあったような、自分たちでクローズのAIを作ることによって、ここに関してはハルシネーションが発生しませんよという自信を持ったコンテンツを作ること。
例えば保険の世界に関して、もうありとあらゆる保険の情報なんかをAIに詰め込んでクローズのAIとして売り出せば、そこに少なからず自覚したハルシネーションは発生しませんので、保険の世界においてAIを使うには「そのコンテンツを使ったらいい」という武器になるわけですよね。もちろん言うは易し、行うは難しです。ハルシネーションを解決しようとすると、一定程度の予算も必要となります。それでも自分たちでクローズのAIを作れたなら、それは大きな差別化になります。
まとめ:次世代のライターのキャリアパス
2026年、AIOがものすごい勢いで進むライターにとって変革期です。そのなかでどのような「キャリアパス」を実現していくかが問われます。キャリアパスといっても誰かがコーチングして先導するようなものではなく、AIが日進月歩で進歩するなか、皆がゼロ地点で一緒にスタートしているような感覚を覚えます。そのなかで講師業を担う者として、ぜひ一緒にアップデートしていきましょう。
AI記事に「魂」を入れる
よく「AIが書いたような記事」といわれる文章があります。既にAIは一般化し、多くの人が使いこなすようになりました。よって「AI文章判定ツール」のようなものを使わなくても、AI作成の可能性が高い無機質感の文章が生成されます。だからこそライターのみなさまには、無機質感の対象となる「魂を入れた文章」を作成していただきたいと考えています。
今回ご案内したように、部下としての位置にAIを活用することは何も問題ありません。それによって作業効率が2倍、3倍となるとしたら、それだけ数多くの成果物を出せるということです。魂を入れるためにAIをフルで使用し、同時に対外的に見るときに「AIを使いこなすライター」を目指すようにしましょう。
「みんなの仕事支援サロン」では、なかなかライティングの案件をもらえないという段階から、クライアントに向けたアピールの方法や毎週の定例面談を通して、案件を獲得できる状況を作り上げていきます。そのなかで最新のAI×ライティングの知識も常にアップデートしていきましょう。そのような経験を重ねることで、AI×ライティングに関する最前線を進むことができます。ぜひ次世代のライターになりたいという熱量を持った、みなさまとお会いできることを楽しみにしています。

